
新型コロナウイルスの感染拡大で延期されていた韓国のプロ野球が五日、開幕した。世界のプロ野球リーグの中で、4月12日にスタートした台湾CPBLに次いで幕を開けた韓国。ここまでどのような対策を講じてきたのか。
観客を入れず、グラウンドとベンチ以外ではマスクの着用を義務付けるなどウイルス対策を徹底し、約一カ月遅れでの球春到来。今後は状況をみながら観客を増やしていく方針で、同様に無観客からの開幕を目指す日本のプロ野球にとっても参考になりそうだ。
コロナ対応マニュアルを各球団に配布。約1カ月後の4月16日には内容をアップデートさせた第2弾が各所で共有された。NPBでも入手したというそのマニュアルは、A4サイズで44ページにわたる。
この中で選手に関しては、毎朝起床後と球場に向かう前に検温が義務付けられ、その数値をKBO独自のアプリに入力。家族の健康状態に異常がある場合も報告が必要と記されている。
選手個々の体調管理のほか、球団が最も重要視しているのが、選手の外部との接触だ。マニュアルにはビジターチームが球場に到着してからロッカールームに入るまでの動線が、全球場分、細かく記されている。
実際に開幕し試合をしてみて、かつて中日でプレーしたLGの芹沢裕二バッテリーコーチは「集中力を保つのが大変だし、指示が相手に全て聞こえてしまうやりにくさもある」と振り返った。
選手には毎日、体温など健康状態を独自のアプリに入力するよう義務付け、素手での握手やハイタッチも自粛。ベースコーチと審判は、試合中もマスクと手袋の着用が必須となった。
遠征先への移動は日本とは違い、全てチームのバスを利用するため感染リスクは低いが、宿舎でも外出やサウナの使用を禁止に。ヒーローインタビューなどの取材も、選手、報道陣ともにマスクを着け、一定の距離を保って進められる。
早期に開幕できたことで、レギュラーシーズンは予定通り各チーム百四十四試合を確保した。本来は東京五輪の間はリーグを中断する予定だったが、五輪の延期でその期間にも試合を組み込み、プレーオフの短縮やオールスター戦の中止で対応する。
今後は、段階的に観客数を増やしていく計画だが、観客減による球団経営への影響も少なくない。一試合の平均観客数は約一万人。入場料も日本より安く、球団の収入に占める割合はそれほど高くないが、無観客により各球団は一試合平均一億二千万ウォン(約一千万円)ほどの損失になるとみられる。球団関係者は「飲食やグッズ販売も含めれば影響はさらに大きい」と明かす。
私もKBOの開幕戦の映像を確認したが、ガラガラのスタンドにマスクをした審判、ホームランを打ってもハイタッチができない。違和感があると言うか寂しく感じた。NPBでも現在無観客での開幕も検討されているが、ファンにとっては耐えられない映像になってしまうのではないかと思う。
ファンあってのプロ野球。この言葉につきる