ドジャースの山本由伸投手は2025年9月のオリオールズ戦で、9回2アウトまでノーヒットノーランを達成しながら、最後の打者に安打を許し、惜しくも快挙を逃しました。この試合はチームも敗れ、さらなる悔しさが込み上げるものとなりました。MLBでここまで9回の終盤まで無安打を続け、最後にヒットを許した例はほとんどなく、山本投手の投球はその希少性からも称賛に値します。

　一方、日本のプロ野球（NPB）では、同様のケースが歴史に数多く存在しています。西武の西口文也投手は、完全試合目前の9回二死で安打を浴び、ノーヒットノーランを逃した回数が多いことで知られています。広島のロビンソン・チェコ投手も1996年5月の阪神戦で9回2死までノーヒットノーランを継続しながら最後に敗れ、記録に一歩及びませんでした。

　こうした記録は「惜しい」という表現以上に、投手としての集中力と精神力の高さを示すものであり、9回まで投げ切る覚悟や技術力の象徴ともいえます。長いイニングで一切ヒットを許さない試合運びは、対戦する打者にとっても屈辱的な試合となります。

　NPBの歴代記録からも、9回までノーヒットノーランを継続しながらも、最後に安打を浴びたり、四球や失策で完封失敗となった投手は多数おり、その緊張感や偉大さは今なお語り継がれています。完全試合やノーヒットノーランは、実力だけでなく運や僅かなミスの差が勝敗を分ける、野球という競技の奥深さを示す瞬間といえるでしょう。

　山本由伸投手の記録逃しは悔しさが残るものの、その素晴らしいピッチングはファンのみならず野球関係者の多くに強い印象を残しました。今後の活躍も期待される中、彼が見せた「9回までノーヒットノーラン」の偉業は、現代野球の歴史に刻まれ続けることでしょう。