野球をしているとよく聞く 「失点」と「自責点」。
この違いを正確に回答できる方はどれくらいいるでしょうか?
詳細を含めて詳しく解説していきます。
まず 失点と自責点の違いとは?
野球規則には下記と記載があります。
9.16 自責点・失点
自責点とは、投手が責任を持たなければならない得点である。9.16 自責点・失点 (a)
自責点は、安打、犠牲バント、犠牲フライ、盗塁、刺殺、野手選択、四球(故意四球も含む)、死球、ボーク、暴投により、走者が得点するたびごとに記録される。ただし、守備側が相手チームのプレーヤーを3人アウトにできる守備機会をつかむ前に、前記の条件をそなえた得点が記録された場合に限られる。9.16 自責点・失点 (a)【注1】
“攻撃側プレーヤーをアウトにできる守備機会”とは、守備側が打者または走者をアウトにした場合と、失策のためにアウトにできなかった場合とを指し、以下これを「アウトの機会」という。(抜粋)9.16 自責点・失点 (a)【注2】
②自責点に含んでならない要素は、守備失策、捕手または野手の妨害、走塁妨害、捕逸、ファウルフライ失である。
②の要素で一塁に生きたり、または本塁を得た場合はもちろん、二塁、三塁を進むにあたっても、上記の要素に基づいた場合には、自責点とはならない。
ただし、二塁、 三塁を②の要素で進んだ走者が得点した場合でも、これらのミスプレイの助けをか りなくても得点できたと思われるときには、自責点とする。
まとめると
エラー・打撃、走塁妨害・パスボール・ファールフライの落球
上記が関係し ランナーが出塁した、進んだ場合は 基本的に自責点はつかない。
守備側が アウトにできる機会を3回処理後の失点は全て自責点にならない
このようになる。
続いて 例を挙げて説明してみる。
パターン① 失点1 自責点0
打者 | 打撃結果 | 備考 |
---|---|---|
A | 遊ゴロ失 | アウトの機会① |
B | 三振 | アウトの機会② |
C | 二飛 | アウトの機会③ |
D | 中二塁打① | 失点1 |
E | 遊ゴロ |
まず一番簡単なパターン。
先頭バッターA がエラーで出塁。
このエラーは上記【注1】に基づき 「アウトの機会」となり、1回目のアウトの機会。
次バッターは三振で 1OUT。
ここで「アウトの機会」は2回目となる。
C がセカンドフライで2OUT。
このプレーで「アウトの機会」が3回目となる。
※これ以降に記録された失点は 全て自責点にはならない。
続く、Dにタイムリーツーベースで失点1。
しかし上記の通りこの失点は自責点とならない。
後続は抑え、このイニングの失点は1、自責点は0となる。
パターン② 失点5 自責点0
打者 | 打撃結果 | 備考 |
---|---|---|
A | 三ゴロ失 | アウトの機会① |
B | 遊ゴロ | |
C | 四球 | |
D | ニゴロ失 | アウトの機会③ |
E | 中安打① | 失点1 |
F | 右中三塁打③ | 失点3 |
G | 一ゴロ① | 失点1 |
H | 遊ゴロ |
この場合、先頭バッターA がエラーで出塁。
「アウトの機会」となり、1回目のアウトの機会
次バッターは遊ゴロで 1OUT。
ここで「アウトの機会」は2回目となる。
C がフォアボールの後、Dは セカンドのエラーにて出塁。
このエラーも【注1】が適応され「アウトの機会」が3回目となる。
※これ以降に記録された失点は 全て自責点にはならない。
E・Fに連続タイムリー、G の内野ゴロの間に計5失点。
これは全て自責点にはならない。
後続は抑えたため このイニングの失点は5、自責点は0となる。
パターン③ 失点4 自責点2
打者 | 打撃結果 | 備考 |
---|---|---|
A | 四球 | |
B | 遊飛 | アウトの機会① |
C | 四球 | |
D | 左安打① | 失点1 |
E | 中安打① 中送球ミス① |
失点2 |
F | 遊ゴロ① | アウトの機会② 失点1 |
G | 一ゴロ | アウトの機会③ |
次の場合は、先頭バッターA が四球で出塁。
Bはショートフライで 1OUT。
ここで「アウトの機会」は1回目となる。
C がフォアボールの後、Dは レフトへのタイムリー。
これは通常通り 自責点となる。
Eもタイムリーで1失点、センターの送球ミスも重なり さらに1失点。
タイムリーは 投手の責任点のため 自責点がつく。
その後のセンターの送球エラーは 自責点はつかない。
Fのショートゴロでさらに1失点。
これも センターのエラーがなければ失点はなかったので 自責点はつかない。
G のファーストゴロで3アウト。
このイニングの失点は4、自責点は2となる。
実際の試合でのケース
日本シリーズ「DeNA対ソフトバンク」 第2戦の3回 ソフトバンクはこの回 4安打と四死球・エラーを絡めて 3得点を奪ったシーン。
ここは 投手交代など いろいろなケースが出てくるので 例として記載する。
大貫 失点3 自責点2 佐々木 失点0 自責点0
打者 | 打撃結果 |
---|---|
今宮 健太 | 左安打 |
山川 穂高 | 左安打 |
栗原 陵矢 | 四球 |
柳町 達 | 二ゴロ |
牧原 大成 | 右安打② +右捕球ミス |
投手交代(大貫 → 佐々木) | |
甲斐 拓也 | 右犠飛① |
モイネロ | 一ゴロ |
3回表 先頭バッター今宮 健太。
今宮は1-2からの4球目を捉えてレフト前ヒット。
続く山川も2-2からレフト前へ運んで 無死1.2塁。
栗原は 冷静に四球を選び 無死満塁。
柳町はセカンドゴロで本塁封殺。 1OUT。
続く牧原 がライトへのタイムリーで2得点。
ライト梶原のファンブルもあり ランナーはそれぞれ進み 1死2.3塁。
この場面 エラーは絡んだものの 2点目のホームインはエラーが無くても得点していたと判断。
自責点は2となった。
ここでDeNAは投手交代。大貫から佐々木へ交代。
交代して迎えた甲斐 拓也は 4球目をライトへ打ち上げ さらに1失点。
これは ライト梶原のファンブルがなければ失点はなかったので 自責点はつかない。
なお、この失点は 先発大貫が出したランナーのため 失点は大貫に記録される。
続くモイネロは ファーストゴロで3アウトチェンジ。
このイニングの失点は3、自責点は2となる。
失点・自責点は全て大貫に記録され 佐々木には失点 自責点ともにつかない記録となった。
よく聞く自責点と失点。
わかっていそうでわからない自責点の定義もあり審判・公式記録員の判断に委ねられる場面もあるが、定義の通り アウトの定義や 自責点に含んではいけない要素を覚えていれば ある程度はわかるはず、、?
定義を覚えて 実際の試合でもケースごとに自責点がつくのかつかないのか 考えてみよう!